農業を始める上で必要なことは栽培技術。
どんなに経営の才覚があっても、栽培が未熟では金がとれず金銭的に苦しい新規就農者は耐えられせん。
梨で新規就農する場合に、新規就農者を追い込むポイントが3つ。
- 黒星病
- 虫
- 受粉作業
だそう。
今回はこの3つについてまとめました。
黒星病(くろほしびょう)
黒星病(通称:黒)は梨農家を最も苦しめる病気です。梨は「黒星との闘い」と言われるほど。
梨の実や軸、葉に発生します。
感染源は2つ
- 前年に感染した落葉から飛散する胞子(子のう胞子※1)
- 病気にかかった芽の基部にできる胞子(分生子※2)
です。
感染のメカニズムはこう。
前年に感染した落葉から、3月下旬~5月上旬に子のう胞子が飛散。基部から分生子は開花はじめ頃から飛び始めます。その胞子を浴びて感染した葉や実などで新たに分生子が発生。そして周りに胞子が飛び感染が拡大します。
昨年の胞子が越冬し、翌年に猛威を振るうようです。発病までの潜伏期間が30日から長くて50日。つまり、発病のはるか前に感染しているため、病斑が見らえてからの防除では遅い。
ではどうするか。
秋の殺菌剤散布、落葉の処分です。越冬する菌を減らすことが効果的な対策です。
感染が見られる場合は、随時取り除き園地から出します。
気温の低い年は梨の生育が遅れるために感染の機会が多く、期間も長くなるためいつも以上に注意が必要なようです。
※1「子のう胞子」
子のう菌類に特有な有性胞子で,子嚢の中に生じる内生胞子.(コトバンク参照)
※2「分生子」
菌類に見られる無性胞子の一つ。菌子が先端で切れてできたものと、菌子内部の細胞質分裂によりできたもの(内生分生子)とがある。分生芽胞。(コトバンク参照)
虫
主な虫害は
- アブラムシ
- ハダニ
- シンクイムシ
- チャノキイロアザミウマ
- ニセナシサビダニ
- ハマキムシ
- カメムシ
- 吸蛾類
- カイガラムシ
です。(よくわかるナシ栽培 創森社 参照)
虫害は園地の中で越冬するタイプと外から飛来するタイプに分かれます。越冬する虫には粗皮削り・耕運・マシン油乳剤の散布などで越冬虫の密度を下げます。飛来する害虫には網を張ったり、黄色蛍光灯を設置したりなどで対応します。薬剤防除は虫の体に当たるか、体内に入らないと効果がないからです。
園内をよく観察し、早期発見・早期防除を徹底するほかありません。観察力が物を言います。
5月現在、たまにカミキリムシに穴を開けられた木があります。摘果作業で上を向いているため気が付きません。研修先ではほかの人が見つけてくれるため問題ないですが、自分の園地で気が付かないと・・木が枯れてしまいます。
恐ろしい
受粉作業
最も売り上げに影響する作業。
受粉がうまくいかなければ数が足りないため、どんなに栽培管理が上手くとも意味はありません。
作業内容は、毛の球が付いた梵天に花粉をつけて、花の柱頭を触ります。これだけ。
作業そのものは難しくないです。
ですが、受粉できる時期が短いうえに毎日が受粉に適した気象条件というわけにもいかない。難易度が高いゆえんはここです。
気温が15度以下の時は花粉の受粉率が低いため、できるだけ暖かい日を選びます。やむ負えず気温が低い日にしなくてはならない場合は、花粉を濃くして受粉します。
花の束1つごとに受粉する花は1つ(多くて2つ)。下から2~5番目で花の生育の良いものを選びます。もし受粉作業から2~3時間で雨が降ったらやり直します。
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