消費者は農畜産物の値上げをどう思っているのか

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ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、農業生産に必要な肥料や飼料・燃料が高騰し「生産コスト」が上昇しています。利幅が減少し、生産継続の危機に陥る生産者の声が聞かれます。一方で、農産物は市場で価格が決まるため「値上げできていない」という実態があります。

そこで今回は、雨風太陽(旧ポケットマルシェ)が8月17日公表した【資材高騰と一次生産物価格に関する生産者・消費者調査】の結果から、消費者が「農業生産物の値上げ」についてどう思っているのかについて確認します。

消費者の9割が食料品の価格上昇を実感

「食料品の価格についてどう思いますか」という問いに対して、価格が上がったと感じるかそれとも下がったと感じるかを回答。

上がったと感じるが57.6%、少し上がったと感じるが35.3%で、全体の92.9%が「上がった」と感じています。つまり、農業者の「値上げできない」と感じるなか、消費者は菓子や小麦(麺類)、冷凍食品などの値上げで「食料品」が高くなっていると感じていると考えられます。

7割以上が農畜産物の値上がりを許容

 「資材高騰により一次生産物の価格が上がったとしたら、許容できますか?」という問いにできる、できないで回答。

許容できるが77.3%で、消費者は「資材高騰による値上げは理解できる」ようです。そうは言っても、市場出荷では価格は決められないし、仮に直販で値上げしたら他の農家との価格競争で負けて売上が減るかも、などといった不安はありますよね。

加えて、これが一時的な「資材高騰」に対する値上げを許容しているのか、それとも理由が理解できればそれらに関わる値上げについても許容するのかは気になるところです。

10%前後が値上げの許容ライン?

「許容できる」と回答した方に許容できる値上げ率について「10%未満」「10%以上20%未満」「20%以上30%未満」「30%以上」の4つで回答。

最多が「10%以上20%未満」の42.5%、次いで「10%未満」が38.3%でした。つまり、消費者は「1割前後の値上げならば許容できる」ようです。値上げを考える場合はこの辺りで設定してみるのがベターではないでしょうか。

さいごに

生産資材の高騰は、今回のロシアによるウクライナ侵攻を背景にした値上がりだけではありません。輸入しているものは海外情勢に左右されます。しかし、これまでそれらの情報は消費者まで届いていなかったように思います。

消費者と生産者をつなぐサービス、「ポケットマルシェ」「食べチョク」「ふるさと納税」などの台頭で、生産現場の現状が伝わりやすくなりました。その結果、「応援消費」「災害復興の募金」「クラウドファンディング(CF)」などが旺盛になったと感じています。

今回の調査で理解してくれる消費者が一定数いることが分かりました。農業生産物を販売するには、市場出荷と直販サイトなど複数の販売先を持つことが良いかもしれません。

【資材高騰と一次生産物価格に関する生産者・消費者調査】

2022年6月8日〜13日にかけて産直サイト「ポケットマルシェ」登録ユーザにインターネット経由で調査。有効回答数は1074件。

この記事を書いた人

農業界に一石を投じようと、脱サラした20代。
「産地統一」という無謀すぎる目標を掲げて産地に乗り込む。
地域おこし協力隊という制度の元、研修中。2025年10月からの独立に向けて栽培技術・経営を学ぶ。
理解=説明可能
アウトプットの場としてブログを書いています。

※イニシャルDに登場する「PROJECT.D」のオマージュです。

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